三重県伊賀市 本尊五大明王の祈願寺
今年の干支は、乙未(きのとひつじ)
「未」とは、皆さまご存じ羊のことです。
羊は臆病で、常に群れたがる性質を持ち、逆に群れから離れると強いストレスを受けるそうです。
これは飼育するのに適した性質で、古来より家畜化された羊は、世界中の国々で、羊毛、羊皮紙、羊乳、食肉、脂肪など、多くの恩恵を人にもたらしました。
穏やかで優れた家畜である羊は、人間にとって とても馴染み深い、身近な動物の一種といえます。
人と羊の歴史は大変長く、やはり各国の神話や宗教にも数多く登場しています。
(キリスト(中央)と羊の姿で描かれた12使徒)
(金色の羊で逃げるプリクソスとヘレー)
古今東西さまざまな宗教で、羊は神への供物、または贖罪(しょくざい)として生贄に使われてきました。
(胎蔵界曼荼羅の中台八葉 中央に座す大日如来)
干支の守り本尊の中で、未歳生まれの皆さまは、最も徳の高い仏さまに見守られている。こんなに有り難いことはありませんね。
例えばキリスト教では、救世主や王を羊飼いに、導かれる信徒や民衆を羊の群れに準えることが有名です。
(キリスト(中央)と羊の姿で描かれた12使徒)
「迷える子羊たちよ、入りなさい…」
昔のテレビに、そんなお笑い番組がありました。
ギリシャ神話では、オリンポスの主神ゼウスが使わした 翼を持つ黄金の羊や、アルゴー号の冒険に登場する金羊毛などが有名です。
(金色の羊で逃げるプリクソスとヘレー)
最たるものは、イスラム教や仏教など、多くの神話や宗教に共通している「祭祀(さいし)の獣」としての性格でしょう。
古今東西さまざまな宗教で、羊は神への供物、または贖罪(しょくざい)として生贄に使われてきました。
従順な羊は、屠場に入って他の羊が殺されるのを見ても恐れることはありません。自身の番が来ても、一声も発せず、嫌がりも騒ぎもせず、まな板の上の鯉のようにその時を待ちます。
仏教において、物怖じしないその静かな往生は、覚りへ至る清らかな動物として数えられています。
しかし残念なことに、全体的にその評価は低く、多くは本能のままに生きる愚痴無知の卑しい獣と扱われる場合がほとんどです。
せっかく今年の主役(干支)なのに、これでは気の毒ですね。
では、善いことも紹介しておきましょう。
未歳の守り本尊は『大日如来』
未歳の守り本尊は『大日如来』
金剛界・胎蔵界曼荼羅の主尊であり、森羅万象、この世の理を体現する真言密教において最も重要な仏です。
(胎蔵界曼荼羅の中台八葉 中央に座す大日如来)
干支の守り本尊の中で、未歳生まれの皆さまは、最も徳の高い仏さまに見守られている。こんなに有り難いことはありませんね。
未歳生まれは、羊が群れをなして行動するように、家族の安泰や平和をもたらす縁起のいい存在。その気性は、穏やかで、温かく優しい、真面目で正義感が強いと聞きます。
有り難いことに、私の周りは、父親、息子、義母、住職婦人と、多く未歳の方に囲まれています。今の平和や安定があるのは、実はそういった皆さんのお蔭かもしれません。
以前は、未歳の男子は大切にされても、女子は疎んじられる風潮があったように聞いていますが、そんなものは迷信の類いです。
男子も女子も隔てなく、未歳生まれの皆さまを言祝ぎましょう。
男子も女子も隔てなく、未歳生まれの皆さまを言祝ぎましょう。
※ 依那古仏教団の教化誌『法縁』第90号に寄稿したものを加筆修正しました。
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新年 明けましてお目出とうございます。
皆さま方には、日々ご健勝の中に新しい年を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。
年が改まる毎に「今年こそはよい年でありますように」と願っても、官能のまま欲望にふける人生であっては無駄な一生と言うほかございません。
では、私達の人生にとって今、何を求めているのでしょうか?
心豊かな生活を送る為に、お釈迦さまは、三つのことに努力、精進しなさいと説かれました。
第一は、とらわれの心を捨て、自らを戒め、足るを知ること
第二は、こだわりの心を捨て、心を落ち着かせ、静かな行動ができるように
第三は、かたよりの心を捨て、他に惑わされることのないよう、自らの智恵を学ぶこと
世の中、いかに物が豊かになろうとも、仏心が無ければ、人の心は育ちません。どんなに立派な言葉でも、実践がともなわなければ、人は信じ合うことが出来ないように、仏心を行じなければ心豊かな人間の幸福はありません。
「ほとけの心」とは、慈しみを持つ心、哀れみを持つ心であり、即ち他人を尊重し、思いやりのある温かい心であります。
三帰依文に「人身受け難く今すでに受く、仏法聞き難し今すでに聞く」とあります。
この世に人間として生まれた深い意味と尊さに気づき、仏法に出会えた喜びを感じ、仏法の教えを聞き精進し、佛の道を得たとき、心豊かな人生となることでしょう。人間が求める智恵と申せましょう。
この世に人間として生まれた深い意味と尊さに気づき、仏法に出会えた喜びを感じ、仏法の教えを聞き精進し、佛の道を得たとき、心豊かな人生となることでしょう。人間が求める智恵と申せましょう。
お大師さまは、人間生活には「四つの利」を知れと諭されています。
第一の利「無病」、第一の富「知足」、第一の親「善友」、第一の楽「菩提」の四つであります。
まず健康に気をつけ、どんな境遇にも満足を身につけ、人が一生を送るため一番助けになる相談相手をもち、人が楽を得るため仏の道を知ることをお示しになっております。
この教えは人間の価値を最高度に高め、現実のこの社会生活の中にこそ浄土ありと、お導きなっているゆえんであります・
まず健康に気をつけ、どんな境遇にも満足を身につけ、人が一生を送るため一番助けになる相談相手をもち、人が楽を得るため仏の道を知ることをお示しになっております。
この教えは人間の価値を最高度に高め、現実のこの社会生活の中にこそ浄土ありと、お導きなっているゆえんであります・
先徳のお諭しを教訓に精進し、み仏のご加護を頂き、与えられたこの命を悔いなく全うして頂きたいと思います。
今年こそはと気持ちを新たにして、皆さまと共に明るく、楽しく、正しく、力強く「大慈悲心」を持って生きようではありませんか。
常福寺住職 織田杲深 執筆
※ 常福寺 正月寺報より転載
新年、明けましておめでとうございます。
2015年の年明けは、寒波の影響で、大晦日から元日にかけて、ごうごうと唸るような強風が吹き止まず。さらに2日3日は、10cm近い積雪で名阪国道が連日ストップするなど、お参りに不向きな天候が重なりました。
(3日 9時頃の境内)
(お寺から在所の風景)
気温も低く、強い風や積雪とあってはお参りの足も鈍るものです。
それでも、恒例の元朝法要に始まり、寺総代や地区の役員さま方、毎年お参りくださるお檀家さま、篤信のご家族、近郊にお住まいの皆さま。また遠路、本尊五大明王のご開帳に合わせてお参りくださった方々など、除夜の鐘から正月三が日にかけて多くの皆さまがご参拝くださいました。
3日の初護摩には、昨年と同じ5名のお坊さんにご助法いただきました。今年も、総本山長谷寺で厳しい修行を積んだ面々を中心に、新年らしく華があり、皆さまに元気と活力をお分けするような法要を修めることができました。
当日は、足元に雪が残るも、青空が澄みわたる良い天気になりました。
(午前の法要後、境内の様子)
各法要の後は、地元業者 株式会社キタモリ さま、メモリアルホール紫蘭(しらん)さま、
伊賀上野で人気のパン屋 liaison(リエゾン)さまのご協力により、うどん・けんちん汁の振る舞い、笹酒や甘酒の振る舞い、子供さん用にお菓子のつかみ取りや わた菓子、パンやラスク(お土産)の販売などなど、ご接待いただきました。
(午前の法要後、境内の様子)
大変荒れた天候で始まった新しい年ですが、慌ただしいのはこれで一旦納めて、どうか穏やかな一年であって欲しいと切に願います。
東日本大震災以降も、火山の噴火、土砂崩れ、台風、ゲリラ豪雨など猛威を振るう異常気象。私たち日本人は、常に自然災害と向き合いながら生きていくしかありません。
大切なことは、不安な日々のなかで、今ある小さな幸せに気付けるかどうか。ささやかな幸福感、一握の希望、一時の安寧、それらに感謝して、日々を積み重ねていくことが本当の幸せに繋がるのだと思います。
ご協力いただきました全ての方々に心から御礼申し上げると共に、このブログをお読みくださった皆さまのご健康とご多幸をご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。
師走も半ば、本格的に年始の支度が始まっています。私たち僧侶はもちろんのこと、皆さまも公私にお忙しくされていることでしょう。
毎年のことですが、12月に入ると一日一日があっという間に過ぎていきます。
「もう一年経つんやね。年をとったら、一年一年過ぎるのが早くて~」と、お会いするほぼ全ての方がお話しされるのが可笑しくて。
もちろん、私も同意見ですが、考えてみたら逆のことを言う方って一人もいないんですよね。この多様化の時代、一人くらい天の邪鬼な方がいてもいいのにと思ってみたり。
東日本大震災の大禍はいまだ納まらず、復興への道程は遅々とした歩みです。
先行き不安な日本経済、急激に進む少子高齢化、消沈する地方、中韓との緊張、蠢動を始める原発、改憲への取り組み。多くの問題が山積するこの国は、どこに向かいどう答えを出してゆくのか…。
この激動の時代において、攘災招福の威力に勝る五大明王の御宝前にて厳修する初祈祷が、皆さまの日常における安心、諸願の光明に繋がりますように、僧侶一同心を込めてご祈念させていただく所存です。
近くにお住まいの方・興味のある方は、ぜひ一度、常福寺の初祈祷護摩供にご参加ください。新年らしく華があり、皆さまに活力をお分けできるような法要を体験していただくことができます。
また、1日 午後2時、2日 午後2時、3日 初護摩の後に、それぞれ本尊さまのご案内や解説をする法話をいたします。各日、私が可能な限り時間をとってご説明させて頂きます。
仏像に興味のある方、法話を聞いてみたい方は、ぜひ時間を合わせてお越しになられてください。
(前回のつづき)
「教授・壇行事・讃衆」
灌頂講社の皆さま方、お世話になったどなたも、一つ一つのご縁で結ばれています。
お世話になった先生方、ご縁の深い先輩・後輩が、私たちの法会を成功させる為に、壇行事を勤め、護摩を焚き、讃を唱える。写真を撮り、下作業をし、灌頂そのものを万事滞りなく進める。
その姿は、一つ一つが大変ありがたく感動的でありました。
讃衆の皆さまが、成満した我々に「おめでとうございます!!」と一斉に傅いてくださった姿は身が震えました。
檀行事の加藤先輩が、わざわざ讃所で締めの東方讃を頭出しくださったことは、その声で即かに理解して壇上でしびれました。
出会った頃はたった5歳だった少年も、立派な青年僧に成長して讃衆の仲間入りをしていました。
全ての体験が、まさに法悦。
法会が進むにつれ、この素晴らしい時間がもうすぐ終わってしまうのかと、少し寂しい心地になりました。
「便壇阿闍梨の皆さま」
今回、與楽寺でお世話になった10名の便壇阿闍梨さま。
その内、大学の同級生が2人、旧知の方が2人。残り5名は初見の皆さまでした。
同じ目標に向かって一緒に学び、情報を交換し 共に研鑽してきた、いわば同志のような存在です。
最初は緊張して、各自会話もそこそこに経典に向き合っていましたが、成満する頃はすっかり打ち解け仲良くなりました。このご縁を大切に、年に一度くらい同期で集まろうかと話しています。
何より、一﨟(いちろう:席次一番)の柳沢僧正が 素晴らしい存在でした。
年長ながら控えめなで実直。万事、真面目に当られる。その存在によって座が締まる、皆の手本となる一﨟さまでした。
以上、伝法灌頂 便壇阿闍梨成満の備忘録として。
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副住職
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自己紹介:
真言宗豊山派のお坊さん
大和国は豊山長谷寺の門前町に生を受け、仏縁あって僧侶に。
伊賀国は江寄山常福寺の副住職になりました。
現在檀務と共に、ご詠歌、声明ライブ、豊山仏青、歩き遍路など、色々活動しております。
真言宗豊山派のお坊さん
大和国は豊山長谷寺の門前町に生を受け、仏縁あって僧侶に。
伊賀国は江寄山常福寺の副住職になりました。
現在檀務と共に、ご詠歌、声明ライブ、豊山仏青、歩き遍路など、色々活動しております。
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